和装礼装 まとめ

📚 花嫁の礼装

花嫁が着装する礼装は小袖の上に打掛（うちかけ）を重ねたもので、起源は桃山時代の上級武家の夫人の正装です。

◆ 小袖
小袖とは、現代の着物の原型となる衣服。広い意味では広袖ではない着物のこと。
打掛の下に着用する小袖は、掛下（かけした）や長着（ながぎ）とよぶことがあります。
現代、花嫁が着用するのは振袖で、裾が床に垂れる丈に仕立て着付けることから引き振袖と呼ばれます。明治時代には、黒引き振袖が花嫁の礼装とされていました。

◆ 打掛
打掛とは、帯を締めた掛下の上に「打ち掛ける」ようにして羽織る、裾が長く床に引きずるほど華やかな着物です。純白のものを「白打掛（しろうちかけ）」、色や柄のあるものを「色打掛（いろうちかけ）」と呼びます。

◆ 掛下帯
小袖の上につける掛下帯は、丸帯（または袋帯）を用いて、文庫結びなどの花嫁用結び方にします。

◆ 小物
・懐剣（かいけん）：「懐剣袋」という袋に入れ、左胸辺りの帯の間に挿し入れて飾ります。
・筥迫（はこせこ）：胸元の合わせに差し込んで飾る箱状のもの。
・末広（すえひろ）：片側は金、もう片側は銀色になっている扇子のことで、基本的には帯に挿して飾ります（広げて使うのはマナー違反とされています）

◆ お色直し
お色直しとは、結婚式中に衣装チェンジすること。
もともとは、相手の家に染まるという意味をこめて白無垢から色打掛に衣裳を変えるという意味がありました。
お色直しは、大振袖の二枚重ねが正式です。

📚 女性和装の礼装

女性和装の礼装は、未婚女性は振袖、既婚女性は留袖です。
※ 色留袖は、既婚女性に限らず着用できます。

◆ 振袖（ふりそで）
色ものは色振袖といい、黒地のものは黒振袖といいます。

◆ 留袖（とめそで）
留袖の名前は、成人のしるしとして振袖の袖丈を短くし、振りを閉じたことに由来しています。
色ものは色留袖といい、黒地のものは黒留袖といいます。
裾部分のみに絵羽模様が描かれています。
黒留袖は、既婚女性が着用することができる着物で最も格が高い「第一礼装」で、主に結婚式などの際に、親族や仲人が着用します。黒留袖には、必ず五つ紋を付けます。

◆ 正喪服
羽織紐と草履を替えるだけで慶弔両用として着用できる男性とは異なり、弔事での女性の第一礼装は、染め抜き五つ紋の黒無地の喪服（黒紋付）です。

いずれも、第1礼装には白の半襟を用います。

📚 女性和装の準礼装

女性和装の準礼装には、未婚者、既婚者の区別なく色留袖（三つ紋や一つ紋）・訪問着・付け下げがあります。
色無地や江戸小紋は、一つ紋を付けることによって女性の準礼装となります。

◆ 訪問着
肩、袖、腰から裾にかけて絵羽模様があしらわれているのが特徴です。

◆ 付け下げ（附下）
訪問着の略式で、訪問着よりも模様が控えめでつながっていないのが特徴です。

📚 その他の女性和装

その他の女性和装には、小紋、絞りなどの外出着や、紬（つむぎ）、浴衣などの街着・普段着があります。