感染症個別詳細 まとめ

💡 試験対策ポイント

📚 麻しん

麻しん(はしか)は、麻しんウイルスによって引き起こされる急性の全身感染症です。感染力が非常に強く、免疫を持っていない人が感染するとほぼ100%発症します。発熱、全身に特徴的な発疹、咳、鼻水などの症状が現れ、肺炎や脳炎などの合併症を引き起こすこともあります。海外で麻しんが流行している場合、渡航者や帰国者からウイルスが持ち込まれ、国内での二次感染や小規模な流行が起こることがあります。

病原体:麻しんウイルス
感染経路:空気感染、飛沫感染、接触感染
潜伏期間:10~12日
症状:発熱、咳、鼻水などの後、高熱と全身に特徴的な発疹(紅斑)が出現
合併症:肺炎、中耳炎、脳炎など
治療:対症療法(症状を和らげる治療)のみで、特別な治療薬はありません
予防:ワクチン接種
主な特徴:感染力が非常に強い。

◆ 定期接種の対象者と時期

📚 結核

結核(けっかく)は、結核菌という細菌によって引き起こされる感染症です。主に肺に影響を及ぼしますが、他の臓器にも感染することがあります。咳、痰、発熱、倦怠感などの症状が現れることがありますが、症状が出ない場合や風邪と似た症状の場合もあります。
2週間以上の長く続くせきは、結核の症状の1つです。

病原体:結核菌
感染経路:空気感染
潜伏期間:6ヶ月~2年
症状:咳、痰、発熱、倦怠感、体重減少、寝汗など、風邪のような症状から、重症化すると呼吸困難や他の臓器の機能不全を引き起こす
合併症:肺以外の臓器に結核菌が感染し、様々な症状を引き起こします
治療:抗結核薬を数ヶ月間、毎日飲み続けることで完治
予防:BCGワクチン接種、十分な睡眠、バランスの取れた食事、手洗い、うがいなど
現状:日本では、年間約1万人が新たに発症し、約1,500人が亡くなっています。高齢者の発症が増加傾向

◆ 定期健診

早期発見のために定期の健康診断が行われています。(65歳以上は義務)

◆ 就業制限

結核は感染症法で2類感染症に指定されており、美容師など接客業でも就業制限の対象になります。

📚 風しん

風しん(ふうしん)は、風しんウイルスによる感染症で、発熱、発疹、リンパ節の腫れを特徴とします。特に、妊娠初期の女性が感染すると、胎児に先天性風疹症候群(CRS)を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。日本では、先天性風疹症候群の発生を予防するため、ワクチン接種が推奨されています。

病原体:風しんウイルス
感染経路:飛沫感染
潜伏期間:2~3週間(平均16~18日)
症状:発熱、発疹、リンパ節の腫れ
治療:対症療法(症状を和らげる治療)
予防:ワクチン接種
注意点:妊娠初期の女性が感染すると、胎児に先天性風しん症候群(CRS)を引き起こす可能性があります。

📚 季節性インフルエンザ

季節性インフルエンザは、例年12月から3月頃にかけて流行する、インフルエンザウイルスによる感染症です。主な症状は、38度以上の発熱、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感などです。感染経路は飛沫感染と接触感染で、感染力が強いのが特徴です。

◆ 季節性インフルエンザの特徴
流行時期:例年12月から3月頃がピーク
感染経路:飛沫感染、接触感染
潜伏期間:約2日
主な症状:38度以上の発熱、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感、咳、鼻水、喉の痛みなど
重症化:特に高齢者や免疫力の低下している人は肺炎や脳症の合併症を起こし、重症化しやすい
合併症:中耳炎、肺炎、脳炎、心筋炎など
予防:ワクチン接種、手洗い、うがい、咳エチケットなど

◆ 季節性インフルエンザと新型インフルエンザの違い

季節性インフルエンザは、毎年同じようなウイルスが流行しますが、新型インフルエンザは、それまでヒトに感染したことのない新しいタイプのウイルスが出現し、世界的に大流行するものです。

◆ 病原体のインフルエンザウイルスについて

インフルエンザウイルスは、A型、B型、C型の3種類に分類されます。このうち、A型とB型が季節性インフルエンザとして流行します。

📚 腸管出血性大腸菌感染症

腸管出血性大腸菌感染症は、ベロ毒素を産生する大腸菌による感染症で、経口感染が主な感染経路です。主な症状は、腹痛、下痢、血便などで、重症化すると溶血性尿毒症症候群(HUS)や脳症などの合併症を引き起こし、死亡することもあります。

原因菌:腸管出血性大腸菌(EHEC)は、O157、O26、O111などの血清型があり、特にO157はよく知られています。
感染経路:主に経口感染で、汚染された食品(特に加熱不十分な食肉)や、人から人への二次感染によって広がります。
症状:潜伏期間は3~8日程度
重症化:乳幼児や高齢者は重症化しやすく、HUSや脳症などの合併症を引き起こす可能性があります。
※ HUS:溶血性尿毒症症候群(HUS)は、赤血球の破壊、血小板の減少、腎機能障害を特徴とする重篤な合併症です。
治療:基本は安静と水分補給で、下痢止めや抗菌薬は医師の指示に従う必要があります。
予防:手洗いの徹底、食材の十分な加熱、調理器具の使い分けなどが重要です。
加熱:食肉は中心部まで十分に加熱しましょう(75℃1分間以上)。
感染症法:腸管出血性大腸菌感染症は、感染症法で三類感染症に定められており、診断した医師は保健所に届け出る義務があります。

📝 練習問題

2025/春
問題 風しんに関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 病原体は、風しんウイルスである。
b 症状は、発熱、発疹、リンパ節の腫れなどである。
c 潜伏期は、2~3日である。
d 妊婦が罹患(りかん)しても胎児に影響することはない。
→ 正解 aとb
2024/秋
問題 季節性インフルエンザに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 大きな流行の原因となるのは、B型のインフルエンザウイルスのみである。
(2) 高齢者が肺炎を併発すると、重症になることがある。
(3) 飛沫により感染し、また、患者の分泌物に汚染された器物を介しても感染する。
(4) 予防対策として、手洗いの励行や手指のアルコール製剤による消毒、予防接種などがある。
→ 正解 (1)
問題 麻しんに関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 病原体は麻しんウイルスであり、その感染力は非常に強い。
b 定期の予防接種が実施されている。
c 2~3日の潜伏期を経て、急に高熱が出た後、小さな発疹が顔だけに現れる。
d 海外からの持込み例もなく、国内での感染リスクはない。
→ 正解 aとb
2024/春
問題 次の感染症のうち、美容師が感染している場合に、感染症法に基づく就業制限の対象となるものはどれか。
(1) 風しん
(2) 日本腦炎
(3) 破傷風
(4) 結核
→ 正解 (4)
2023/秋
問題 結核に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 2週間以上の長く続くせきは、結核の症状の1つである。
(2) 早期発見のために定期の健康診断が行われている。
(3) 美容師が罹患した場合は、感染症法に基づく就業制限の対象となる。
(4) 年間の新規登録患者数は、近年1,000人程度で推移している。
→ 正解 (4)
問題 腸管出血性大腸菌感染症に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 保菌者の便を通じて家族などに二次感染することがある。
b 病原体は、ベロ毒素を出すのが特徴である。
c 病原体は熱に強く、加熱によって死滅することはない。
d 潜伏期は、約20日である。
→ 正解 aとb

出典:公益財団法人 理容師美容師試験研修センター