皮膚付属器官の生理機能 まとめ

💡 試験対策ポイント

📚 皮膚の保護作用

皮膚には、外部からの刺激や異物の侵入を防ぎ、体内の水分を保持する機能があります。

◆ 主な保護作用

📚 機械的(物理的)外力に対する保護作用

機械的(物理的)外力に対する保護作用を持つのは、「表皮角質層」、「膠原繊維」、「弾性繊維」、「皮下脂肪」などです。

◆ 表皮角質層
ケラチンというタンパク質からなっています。ケラチンは弾力と柔らかさがあり簡単には切れません。

◆ 膠原繊維
ケラチンに似ていて、機械的外力に強いタンパク質。

◆ 弾性繊維
伸縮性に富み、ゴムのように伸び縮みする性質を持ちます。

◆ 皮下脂肪
外部からの衝撃が体の内部まで及ばないようにクッションのような働きを持ちます。

📚 光線に対する保護作用

光線に対する保護作用を持つのは、「メラニン」です。
皮膚以外では、ヘモグロビンや汗も紫外線を吸収します。

◆ メラニン
皮膚は日光に当たるとメラニンが作られ皮膚の色が黒くなります。メラニンは、紫外線を吸収・散乱させ、紫外線が体の内部まで達しないように保護します。

📚 化学的刺激に対する保護作用

化学的刺激に対する保護作用を持つのは、「皮脂膜(脂肪膜)」、「ケラチン」です。

◆皮脂膜(脂肪膜)
皮脂と汗が混ざり合ってできる天然の保護膜です。弱酸性で、酸膜とも呼ばれます。

皮脂膜(脂肪膜)の保護作用:

◆ ケラチン
角質層にあるケラチンは、酸や弱アルカリ、有機溶媒、水などに対して強いです。

📚 細菌・微生物に対する保護

正常な皮膚には、細菌や真菌の発育を抑制する「自己浄化作用」があります。

◆ 主な自己浄化作用

📚 皮膚の体温調整作用

皮膚には、角質層・皮下脂肪・毛・毛細血管・汗腺などにより体温を一定に保つ体温調整作用があります。なかでも、毛細血管と汗腺は、体温調節作用に大きく関わります。

◆ 暑いとき ◆ 寒いとき

📚 皮膚反射

触覚・温覚・冷覚・痛覚などの知覚神経は、通常は脳まで伝えられるが、一部は脳まで行かず途中の自律神経に伝わり、皮膚に反応が現れます。これを皮膚反射といいます。

触覚・温覚・冷覚・痛覚のうち皮膚では、痛覚が最も鋭敏で、温覚が最も鈍いです。痛点は皮膚の表面1cm²あたり数十から数百個存在し、温点は平均すると1cm²あたりわずか1〜3個程度しかありません。

◆ 立毛筋反射
立毛筋反射とは、寒さや恐怖などの刺激によって、毛穴の周りの筋肉(立毛筋)が収縮し、毛が立ち上がって鳥肌ができる現象のことです。

◆ 皮膚描記症
皮膚描記症(ひふびょうきしょう)は、皮膚を軽く掻いたり、圧迫したりすると、その部分が赤く盛り上がり、ミミズ腫れのように見える状態を指します。

📚 分泌・排泄作用

脂腺からは皮脂、汗腺からは汗が分泌されます。

◆ 皮脂の分泌
皮脂の分泌は、11〜13歳のころから次第に増加し、20〜25歳で最高になり、高齢になると減少します。男性ホルモンが、脂腺の発育を促進します。

皮脂には下記の役割があります。

◆ 汗の分泌
汗は自律神経によって、主に体温調整のために分泌されます。1日の発汗量は約0.5リットル以上です。

目に見えない「不感知性発汗」と、液体として見れる「感知性発汗」があります。

発汗の種類と特徴
温熱性発汗 温熱的な刺激によって起こる発汗。暑い時、運動時などの発汗。周囲の温度が上昇してからしばらく経ってから発汗します。
精神性発汗 温度と関係なく、精神的影響によって起こる発汗。緊張時・興奮時などの発汗(交感神経)。
味覚性発汗 味覚による刺激で起こる発汗。すっばいものや辛いものを食べたときなどに起こります。

汗腺には「エクリン腺」と「アポクリン腺」の2種類あります。

◆ エクリン腺
エクリン腺は真皮の深くにあり、皮膚の表面に開口していて、人体では口唇の一部以外の全身に分布している汗腺です。特に、手掌、 足底に多く分布します。数は全部で200万以上とされています。
エクリン腺の汗は弱酸性で99%が水です。この汗によって表皮が洗浄されたり、潤いがあたえられています。

◆ アポクリン腺
汗腺体(汗を分泌する器官)は真皮の深いところ、または皮下組織に存在していて毛包に開口していて、外耳道(みみ)、腋窩(わき)、乳輪、臍部(へそ)、会陰部(股間)に存在します。思春期になって機能を発揮する汗腺です。
アポクリン腺の汗は、弱アルカリ性で、細菌が好む栄養分(脂肪、タンパク質、糖質)を多く含むため、細菌が繁殖しやすいです。アポクリン腺から分泌される汗は、エクリン腺より濃く、細菌によって分解されると独特の匂いがします。これに悪臭があると腋臭症(えきしゅうしょう)や、ワキガと呼ばれます。

📚 呼吸作用

皮膚から酸素を取り込み、二酸化炭素を排出するはたらきがありますが、人間の皮膚では、皮膚呼吸はほとんど行われていません。

📚 吸収作用

皮膚は、一定の条件下では、物質を取り込む働きがあり、これを経皮吸収といいます。
経皮吸収で吸収される物質には、「ビタミンA、E、D」「ステロイドホルモン」「性ホルモン」「副腎皮質ホルモン」「脂溶性ビタミン」などがあります。

📚 皮膚のその他の作用

皮膚には、その他「貯蔵作用」「免疫・解毒・排除作用」「再生作用」があります。

📚 毛の作用

毛には、バリアー機能、保温・保湿、装飾、触覚機能があります。

📚 爪の作用

◆ 保護作用
爪は、指先を保護します。

◆ 再生作用
爪母があれば爪が剥がれても再生します。爪母がなければ再生はされません。

📝 練習問題

2025/春
問題 皮膚の感覚に関する次の文章の()内に入る語句の組合せのうち、正しいものはどれか。
「皮膚にある温点、冷点、痛点のうち、1cm²中最も数が多いものは(A)で、最も数が少ないものは(B)である。」
(1) A.冷点 B.温点
(2) A.温点 B.痛点
(3) A.冷点 B.痛点
(4) A.痛点 B.温点
→ 正解 (4)
2024/秋
問題 皮膚と皮膚付属器官の生理機能に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 皮膚では、痛覚が最も鋭敏で、温覚が最も鈍い。
(2) 皮脂の分泌は20~25歳頃から増え始め、高齢になるほど増加する。
(3) 手掌、足底、腋窩(えきか)から、温度と関係なく精神的な感動によって急激に汗が出ることがある。
(4) 爪は、爪母が取り除かれると再生しない。
→ 正解 (2)
2024/春
問題 皮膚の保護作用に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 脂肪膜には、機械的外力に対する保護作用がある。
(2) メラニンには、光線に対する保護作用がある。
(3) ケラチンには、化学的刺激に対する保護作用がある。
(4) 皮膚常在菌には、微生物に対する保護作用がある。
→ 正解なし
2023/秋
問題 皮膚と皮膚付属器官の生理機能に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 皮膚の表面にある脂肪膜は弱酸性で、細菌などの発育を抑制する。
(2) 脂肪膜と角質層のケラチンは、化学的刺激に対する保護の働きをする。
(3) 男性ホルモンは、脂腺の発育を促進する。
(4) エクリン腺の汗はアルカリ性で、アポクリン腺の汗は酸性である。
→ 正解 (4)

出典:公益財団法人 理容師美容師試験研修センター